矯正治療って?
◯矯正治療の目的
矯正治療、歯科矯正、歯の矯正…いろいろ呼び方はありますが、
興味はあるけどよくわからないと疑問に思われている方も多いと思います。
矯正治療の目的は①審美性と②咬合の改善にあります。
見た目をきれいにすることのみが注目されがちですが、、上下の歯を正しくかみ合わせて機能面でも優れた口腔環境を整えることにあります。
また、歯列を整えることは、口腔内の清掃性の向上にもつながるため、むし歯や歯周病の予防という面においても大きく影響してきます。
例えば、歯列不正があり、噛み合わせにズレがある場合やどこか部分的に負担がかかるような場合には、長期的に見ると負担のかかっていた歯やあごに不調をきたし、亀裂が入って虫歯になったり、割れて歯を失ったり、顎関節症という病態を招くリスクが高くなる場合があります。
日本臨床矯正歯科医会の調査によると「自分は矯正が必要かな?」「かみ合わせが変だな」と自覚している人が全体の65%いるのに対して、実際に何かしらの矯正治療を行っているのは、そのうちの13%と言われています。
当院では、矯正相談料は無料としていますが、その理由はまず皆さんに矯正治療の必要性を広く知っていただきたいと考えているからです。
矯正治療のことや治必要なのかどうかがあまりわからないという方でも、まずはぜひお気軽にご相談ください。
ご納得いただけるような最善の治療方針を一緒に考えていきましょう。
◯矯正治療で歯が動く仕組み
矯正力とは
不正な位置にある歯や顎を適正な位置に移動し、十分に機能させるために加える力のことを矯正力(きょうせいりょく)といいます。
歯や顎にある大きさ以上の力をある期間以上作用させると、歯や顎骨は骨を作り替えによって力の作用方向に移動する性質があります。
人の体は常に細胞が入れ替わり、作り替えが行われています。歯の周囲の組織も常に作り替えられており、骨も古い骨が壊され、新しい骨が出来上がっています。矯正では歯に力を加えることで、この歯の周囲の組織の作り替えを利用していきます。
歯が動く仕組み
歯ぐきの中には歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる歯を支える骨があります。
さらに、歯槽骨と歯の根っこの間には歯根膜(しこんまく)という弾力のある薄い膜があります。歯根膜は、歯にかかる衝撃をやわらげるクッションのような役割を持っています。
矯正装置を使用して歯を引っ張って動かし始めると、その力が歯根膜に伝わります。
歯が動く方向側の歯根膜は縮み、反対側は引っ張られて伸びます。
縮んだ歯根膜は元の厚さに戻ろうとして、骨を溶かす細胞をつくり、動く方向側の骨を溶かします。これを骨吸収といいます。
一方、伸びた歯根膜は元の厚さに戻ろうとして、骨を作る細胞をつくり、反対側に骨を新しく作ります。これを骨形成といいます。骨を溶かす細胞と骨を作る細胞のはたらきで、歯根膜がもとの厚さにもどります。
骨吸収と骨形成が繰り返されることで、歯は少しずつ移動し歯並びが整っていきます。
◯歯が動くスピード
歯が動くスピードは1か月に0.5~1ミリ程度です。
やみくもに強い力を加えたからといって、歯は早く動くというわけではありません。歯に必要以上の力をかければ場合によっては、歯根や周囲の骨に大きなダメージを与えてしまうこともあります。歯や周囲の組織に負担をかけずに、人間の体が持つ自然のペースで歯を動かしていくことが大切です。
初期移動
矯正力をかけた直後から生じ、4日間ほど続きます。
停滞期
初期移動後、歯の移動が停滞し、14日間ほど続きます。
強すぎる矯正力が加えられた場合、歯の移動の停滞期が長期化し、その後の歯の再移動が遅れます。
強い矯正力によって歯の移動速度が低下するのは、この停滞期の長期化が原因です。
再移動(後期)
停滞期がおわり、圧迫側歯槽骨の骨吸収が進行すると、歯は再び移動しはじめます。
矯正力の種類
矯正力は、3つの種類に分類することができます。
持続的な力
力の減衰(げんすい・だんだんと減っていくこと)が緩やかな力で、矯正力の作用する時間が連続します。主に、矯正用ワイヤー・オープンコイル・エラスティックなどによる力が当てはまります。
断続的な力
力の減衰が急激で、短い期間でゼロになる力です。力を繰り返し加えることによって歯の移動を行っていきます。主に急速拡大装置に用いる拡大ネジによる力が当てはまります。
間歇的な力
装置が装着された期間だけ、あるいは筋が活動している期間だけ矯正力があらわれる力です。主にMPAやマウスピース型矯正装置など患者さま自身で着脱を行うことができる装置に当てはまります。
歯の動きの種類
歯の移動を細分化すると、次の6種類の移動があると言われています。実際にはこれらの動きを組み合わせながら、歯の移動は進んでいきます。
傾斜移動
歯軸(しじく・歯の傾き)が傾斜するように移動することです。
歯冠に水平方向の矯正力を加えると、単根歯(たんこんし・歯の根っこが1本の歯)は歯根の根尖側1/3を回転中心として、大臼歯(だいきゅうし・奥歯のこと)は根分岐部(こんぶんきぶ・歯の根っこの分かれ目)を回転中心として傾斜します。力が局所に加わるため、比較的弱い力で歯の移動をすることができます。
歯体移動
歯が傾斜することなく平行に移動することです。
移動方向の歯根膜全体に力が分散されるので、傾斜移動よりも移動には強い力が必要になります。
挺出
歯の長軸に沿って、歯が歯槽から抜け出る方向へ歯軸に沿って移動することです。
歯根膜全体が牽引側となるため、比較的弱い矯正力での移動が可能になります。
圧下
歯が歯槽に食い込む方向へ歯軸に沿って移動することです。挺出とは逆の動きになります。
歯根膜全体が圧迫側となるため、歯の移動の中でもっとも起こりにくく、強い矯正力が必要となります。
回転
歯の長軸を中心として回り、捻転している状態を改善する移動です。
歯根膜のほかに隣接歯を連結する中隔横断線維も伸展されるため、後戻りが生じやすくなります。
トルク
歯冠部に回転中心をおいて、歯根を頬舌的に傾斜移動させる移動です。
まとめ
今回は矯正の基本的なことについて解説をしました。
矯正治療は、歯を動かすには骨の作り替えが関わっているため、どうしても時間のかかる治療です。またその時間は、歯の動かし方や治療計画で大きく変わります。
人生において大事なタイミングがいくつかあると思いますが、口元が与える印象や効果は実は小さくありません。
歯並びが気になるタイミングがあった時に、大事なタイミングに間に合わない、となることも少なくありません。
当院では無料相談を行なっております。
ご興味のあるかたはぜひ一度お気軽に無料相談にお越しください。