
インプラント治療 上級編 〜GBR 骨誘導再生法について〜
抜歯をすると顎の骨が減るって本当?
抜歯をすると歯を支えている骨=歯槽骨が減ります(水色部分)
抜歯後、歯を支えていた骨は、徐々に吸収されて減少していきます。
この現象を「骨吸収」と呼びます。
骨吸収は、歯を抜いた部分の骨が自然な治癒過程で、徐々に薄くなってしまうことで起こります。
なぜ骨吸収が起こるの?
歯を抜くと、歯を支えていた骨の刺激がなくなるため、骨を吸収する役割担う破骨細胞が活性化し、骨を吸収し始めます。
これを廃用性萎縮と言います。
歯槽骨はどれぐらい減るの?
抜歯後、数ヶ月から数年かけて骨が吸収され、特に上顎は2mm、下顎は4mmもの骨の高さが減少すると言われています。
この骨が減るのも、一定に全体的にというより、頬側の骨が多く減ります。
骨吸収は何か問題があるの?
骨吸収が進むと、インプラント治療や義歯治療を検討している場合に、骨の量が不足し、治療の選択肢が限られる場合があります。
骨吸収を防ぐ方法はあるの?
抜歯時に骨補填材を入れたり、人工骨を用いたソケットプリザベーション(歯槽堤温存術)を行うことで、骨吸収を抑制できる可能性が高くなります。
その他
歯周病や親知らずの抜歯など、特定の状況下でも骨吸収が起こる可能性があります.
骨が減ってしまったらどうしたら良いのでしょうか。もう戻らないのでしょうか。
そんな時に骨を増やす方法として骨造成法GBR(Guided Bone Regeneration)という方法があります。
ではGBR法とはどういった方法なのでしょうか。
インプラント治療におけるGBR(ガイデッド・ボーン・リジェネレーション、骨誘導再生法)とは、骨量が不足している部位においてインプラントを安定的に埋入するための高度な骨再生技術です。
この技術は、特に歯周病や長期間の歯の欠損によって骨が萎縮したケース、または元々骨が薄い部分でのインプラント手術において重要な役割を果たします。
GBRの手術手順
GBRの手術は、まずインプラントを埋入する予定の部位において、骨量が不足している箇所を特定することから始まります。
この部分に対して、骨補填材(骨移植材)が充填されます。
骨補填材には、患者自身の骨(自家骨)、他人の骨(異種骨)、または人工骨が使用されることが一般的です。
次に、この骨補填材を保護し、適切な骨再生を促すために吸収性または非吸収性のメンブレン(膜)が使用されます。
メンブレンには、骨再生の過程で歯茎の軟組織が侵入するのを防ぎ、骨細胞が十分に増殖するスペースを確保するという役割があります。
メンブレンは時間とともに吸収されるか、またはインプラント手術の前や手術時に取り除きます。
おおよそ6ヶ月待つことで新たな骨が形成され、インプラントを支えるのに十分な強度が得られることを目指します。
GBRの利点
GBRの最大の利点は、骨量が不足している部位でもインプラント治療を可能にする点です。
これにより、インプラントの安定性が向上し、長期的な成功率が高まります。
また、GBRにより得られた新しい骨は、自然な骨と同様に機能し、噛む力に耐えられるため、審美性や機能性に優れた結果が期待できます。
さらに、GBRを行うことで、インプラントの埋入位置がより自由に設定できるようになり、最適な咬合(噛み合わせ)が得られます。これにより、患者の快適さや満足度が向上します。
GBRの適用と注意点
GBRは多くのインプラント症例で利用されていますが、全ての患者に適用できるわけではありません。患者の全身状態や骨の状態、口腔内の健康状態などを総合的に評価し、適切な計画を立てることが重要です。
特に骨粗鬆症で服薬や注射をしている方、糖尿病のコントロールが得られていない方は骨への細菌感染リスクが高くなるため、非常に注意が必要です。
また、GBRにはある程度の手術経験や技術が必要であり、手術後の経過観察やメンテナンスも重要です。
骨が非常に薄い場合や大きな骨欠損がある場合は、GBRの成功には長い治癒期間が必要となることもあります。
さらに、術後の感染予防や適切な口腔衛生管理が欠かせないため、患者と歯科医師の協力が求められます。
GBRは、インプラント治療において骨量が不足している患者にとって、非常に有効な治療法です。この技術により、インプラントの成功率が向上し、患者にとってもより快適で機能的な結果が期待できます。しかし、適切な診断と計画、そして術後の管理が重要であるため、経験豊富な歯科医師による治療が推奨されます。
抜歯後長期間が経過しているけれどインプラントをお考えの方、骨が少なくて他院では難しいと判断された方など、インプラントでお悩みの方はぜひ一度、東灘区のにしうみ歯科・矯正歯科へご相談ください。
日曜日にはインプラント無料相談も行っております。
どうぞお気軽にご相談くださいね!